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「宇宙の海に響く」

 天花寺 又一郎の近作は、鮮やかなブルーの登場とともに、力強い形態の躍動感と、空間を自在に動きまわる終わりのない線の群れが印象的だ。
その青の魅力は、ほかのどんな青よりも精神世界から生まれたもので、青の花の存在を信じた詩人のこころに通じるものだろう。
したがって、画面全体から受ける第一印象が、海の中を巡るようなイメージを与えるかもしれないが、その海は地球に属するものより宇宙に拡がる空の中の海、超現実的な海である。
そして、この超現実的な海から生まれたばかりの形あるもの、形から派生しつつ空間のなかを動きまわるオートマティズムの線群が、この海の世界の存在を証明するとともに、この海の世界の永遠の生命を具象化している。

山口 勝弘

天花寺 又一郎

"夢兆” 1987
ブルー油彩 110×80cm

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